無理じゃないよ、できるよ!

塾講師歴38年、不登校生サポート33年の経験から、あきらめない限り夢はかなう」として、子ども達や保護者の方に伝えたいことを書いています。

答えを出すことばかり急がせてはならない

大手進学塾に在籍する中学受験生を最近になって預かっています。まだ小6ではありませんが、大手進学塾との掛け持ち生も預かるようになりました。

 

 

関西では有名な大手進学塾である、浜学園、馬渕教室、SAPIX日能研に通う生徒です。

 

 

私が所属する池田市の小さな小さな塾に、このような大手中学受験進学塾の生徒は来る必要がないと思うのですが、最近、増えてきているのです。(それはそれでたいへんなのですが・・・)

 

 

全員、個別指導の体験授業で、算数の問題を解いていただきました。どれも、標準的な問題で、4人ともが少し考えれば確実に解くことができるような問題ばかりです。

 

 

その様子を見ていて驚いたことは、1人の女の子をのぞき、4人中3人は、求める式も書かず、ちょこちょこ計算をして、終わりにしていました。

 

 

結果は4問解いてもらって、全問正解は誰もいませんでした。式を書いていた女の子と、一人の男の子は3問正解でしたが、残りの2人は2問しかできていませんでした。

 

 

女の子以外は、どこで間違えているのかもわからず、何をどう考えたのかも、自分で振り返ることもできません。それでは、できるようになるはずがないのです。

 

 

4人のご家族には、入塾にあたり、次のことを塾長先生にお話ししてもらいました。

 

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生きていくために「どのように考えるのか」という練習を「算数」というものを使ってしている。

 

そのために、「何を、どのように考え、判断し、どのように行動したのか」を明確にするようにしてほしい。

 

算数で言えば、答えだけを求めるのではなく、式を立てて、説明も必要最小限には加え、途中の計算もノートに書いて、結果を求めることをするということになる。

 

論理的に考えることは、中学校になってさらに学ぶので、今は、「考えた道筋を明確にして、実行する」ことだけでいい。

 

答えだけを求められて、点数を取ることができるようにしたいのであれば、入塾しないか、少なくとも算数を受講しない方がいい。

 

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塾長先生からお聞きしたところ、4人のご家族は、「考えた道筋を明確にして、実行する」ことができるようになることを求めて来られたのでした。

 

それができていない。それでは、問題が解けるようにはならないことを、よくお分かりだったとのことでした。

 

 

ご家族は、きっとその先の、こともお考えなのだと思いました。

 

それでは、生きていくことが、とてつもなくたいへんになると。

 

 

大手進学塾に通っている生徒が全員、そうなっているとは思いません。

 

でも、答えを出すことが最優先になっていることは、間違い無いだろうと思います。

 

答えを出す、高い点数をとることが、子ども達にとって最優先の課題になっていることも間違いないと思います。

 

 

そんなことを身につけてしまえば、考え方などはどうでも良くなるだろうし、論理的思考など身につくはずもないことは、はっきりしています。

 

 

大手進学塾で、学力レベルに関係なく、国私立中学に合格させるために、これだけをやればいいという大量の宿題を与えて、一定の期間内にこなさせ、テストの点数によって競争ばかりさせていることの1番の弊害が「あまり考えずに、答えだけが早く求められるようになりたい!」と子ども達が思うことだと思います。

 

 

そのことには、ほんのわずかな「満足感を得られる」という意味しかなく、計り知れない弊害があることをご家族は知っておいてほしいと思うのです。

 

しかも、それは弊害のようなレベルではなく、人生を狂わす猛毒かもしれないことを、ご家族は十分に理解しておいてほしいと、子ども達と接していて思わずにはいられないのです。